終の棲家@住友林業

60歳前に何とかローンを組んで家を建てなくては!と決心!とりあえず完成までの記録を残したい!

オニグモじいさんの朝ごはん、の話

家の話とは、全く関係ありませんが感動した記録。
昨日、新聞を読んでいたら、全国学力テストの問題が載っていました。
小6国語問題の「オニグモじいさんの朝ごはん」というお話が、あまりにいいお話だったので(オニグモじいさんの気持ちがわかる年頃になったから、余計にいいお話だと感じたのかも)残しておきたい。
(新聞記事に載っていた国語問題からだから著作権は大丈夫だよね?と思いながら…)
以下は、問題の文章から___φ(。_。*)メモメモ


(松居スーザン「オニグモじいさんの朝ごはん」による。)
空はふかい青色になって、それから、みどりっぽくなって、それから、やわらかなむらさき色になりました。
さいごにのこった三つのお星さまが、ひとつ、ひとつ、きえていきました。
オニグモじいさんは目をさまして、のびをしました。
「うん、ううん。しずかだなあ。みんなは、まだねてるらしい」
それから、あたりを見まわすと、ちょっとさびしそうに、こうつけくわえました。
「どうせおきてたって、わしのとこにあいさつにくるやつなんか、いないだろうけどな」
ひとりぐらしのオニグモじいさんは、もうだいぶ年をとっています。
「ひさしぶりに、だれかとゆっくり話でもしたいがな」
オニグモじいさんはため息をついて、あしもとを見ました。
「ほほお。つめたいと思ったら、朝つゆがこんなに…」
オニグモじいさんがすわっている巣にも、まわりじゅうの草にも、小さなしずくがびっしり ならんでいます。
そして、なにもかもが、ふわふわの朝もやにつつまれています。
「朝日がのぼったら、さぞかしきれいだろうな。そうだ。じまんの巣を、すこしはなれたところ から、ながめてみるとしよう」
オニグモじいさんは、糸をだして、ぶらんとぶらさがると、朝の風に吹ふかれて、となりの草むらに うつりました。それから、そのまたむこうの草むらへ。
空のふちが、もも色にそまりました。はらっぱにたちこめた朝もやも、ふわふわのピンクの雲のようになりました。もうすぐお日さまがのぼるのでしょう。
そのとき、ちかくでおかしな歌声がきこえたので、オニグモじいさんは、はっとしてふりむきました。
「ふむふむ ぶむぶるん ふむふふむぶ ふむふるるん」
とんできたのは、一ぴきのハエの女の子でした。
「あっ、オニグモのおじいちゃん。おはよう」
歌をやめて、ハエの女の子が、うれしそうに声をかけました。
「こらこら」
オニグモじいさんは、ぶあいそうにいいました。
「こっちへきちゃだめだって、おっかさんに、いわれてないのかい」
「いわれたけど」
ハエの女の子は、きゅうにしょぼんとなって、ちかくの草にとまりました。
「おじいちゃんは、どうしてそのことしってるの?」
「そりゃあ、子どもらにそういってきかせないハエのおっかさんなんて、どこをさがしたって、いやしないさ」
「どうして?」
ハエの女の子はそういうと、とびあがって、オニグモじいさんの頭の上をぐるぐる、とびまわりました。
「おまえ、しらんのかね?」
「うん、しらない。ね、おじいちゃん、おしえて。どうして、きちゃいけないの?」
オニグモじいさんは、すっかりよわってしまいました。
「ふう。こまった子だなあ。よし、このわしが説明してやろう。ああっと、巣のほうへちかづいちゃだめだよ。ほれ、おとなしくこの草にとまってききな。あのな、この世の中はな、食わなきゃ生きて いけないことになっていてな、そいで、わしみたいなクモが、生きるために食っているのはな」
オニグモじいさんは、そこまでいって、やめました。
ハエの女の子は、大きな目をひらいて、いっしょうけんめいにオニグモじいさんのお話をきいています。
「なに?」
ハエの女の子が、オニグモじいさんを見あげて、ききました。
「わしみたいなクモが食ってるのは」
と、オニグモじいさんがまたいいました。けれど、またやめました。
そして、とてもさびしそうな顔をして、ハエの女の子から目をそらしました。
「おじいちゃん、どうしたの?」
ハエの女の子がききました。
「なにか、こまったことでもあるの?」
オニグモじいさんは、大きく息をすいました。それから、思いきったようにいいました。
「いや、なんでもないさ。わしが食って生きているのはな、朝日のひかりだよ」
「朝日の、ひかり?」
ハエの女の子は、ふしぎそうにききました。
「そうだよ」
とオニグモじいさんがいいました。
「それって、どうやってつかまえるの?」
「あれをごらん。わしがきのうつむいだ巣だ。ちょっとしたもんだろう」
「わあ、とってもきれい!」
ハエの女の子は、よろこんでさけびました。
「あれが、朝日のひかりをつかまえてくれるんだよ。まあ、ちょっと見ていな。今にわかるから」
オニグモじいさんがそういったかと思うと、池のむこうから、お日さまがぱあっと顔をだしました。
そのとたん、ハエの女の子は前あしをあわせて、目をまんまるくしました。はらっぱじゅうのもやが、ひかりの雲にかわり、そして、そのまんなかで、オニグモじいさんの 巣は、かぞえきれないほどたくさんの小さなお日さまでできているように、きらきら、きらきらとまぶしくかがやいています。
「ほんとうに、ひかりをつかまえた!」
ハエの女の子は、やっと声がでました。
「ああ、ほんとうにつかまえたんだよ」
オニグモじいさんもいいました。まわりの林では、小鳥たちが朝の歌をうたいはじめました。
ハエの女の子とオニグモじいさんは、しばらくのあいだ、朝日のひかりをつかまえたクモの巣を、うれしそうにながめていました。
「な、わかったろう?」
やがて、オニグモじいさんがいいました。
「おまえがあれにつかまってしまうと、朝日のひかりとまちがえられて、食われてしまうかもしれ ないだろう?」
ハエの女の子はこっくりしました。草のあいだを、テントウムシの家族が歩いていきます。はじめに五ひきのきょうだいがとおりすぎたあと、はぐれたぼうやをさがしにいっていたおかあさんが、ぼうやをつれて、あわててあとをおっていきました。
「おまえのおっかさんも、今ごろ、おきて心配しているかもしれん」
オニグモじいさんがいいました。
「はやくかえって、安心させてやりな」
「はい」
とハエの女の子がいいました。
「じゃ、おじいちゃん、ひかりをたくさん食べて、元気でくらしてね。さようなら」
ハエの女の子はうたいながら、はらっぱのむこうへ、とんでいきました。
「ふむふむ ぶむ ぶるんふむ ふふむ ぶふむ ふるるん」
またひとりぼっちになったオニグモじいさんは、ため息をつくと、糸をだして、ぶらーんとぶら さがって、巣にかえっていきました。
と、なにを思ったのか、口を大きくあけて、
「イタダキマス」
とさけぶなり、巣のまんなかにつかまっていた、ひとつぶのひかりに、いきなり 食いつきました。
ぱちゃーん!ひかりの玉はわれて、しぶきになってとびちりました。
オニグモじいさんは、びしょぬれの顔を前あしでごしごしふいてから、だれも見ていな かったか、まわりを見まわしました。
けれども、目に水がはいったせいで、どこをむいても、きれいな虹にじがうかんで見えるだけでした。
「ほほお、きれいだなあ」
と、オニグモじいさんはうっとり見とれていいました。


おわり